アヌシー5日目。ショートコンペ部門Official 5
Of Wood / Owen KLATTE
This is an experimental stop-motion film made with an original technique of progressively carving images into a large round of wood, enhanced with wooden objects coming out of the wood.
度肝を抜かれた作品。まさかの丸太を掘りながらアニメーションさせていく。そのなかで文字通りに、掘り出される木と人間のいとなみは風刺にも優しさにも富んでいて、素晴らしい大傑作。後から監督に尋ねたところ、本当に掘っていて、CG不使用。丸太の前に粘土でシュミレーションされたとのこと。全て掘り出し描き出す絵は1フレームであり、決してやり直せず、不可逆な制作であるのに、全体で見ると計算し尽くされた総合的なハーモニー。労力さながら、圧倒的な作品の力に心を掴まれた。敬意を抱かずには居られない。
インタビューでは1フレームの撮影にだいたい3.5時間かかると言っていた。
O Homem do Lixo / Laura Gonçalves
On a hot August afternoon, the family gather at the table and remember Uncle Botão: the Colonial War, and emigration to France where he lived and worked for thirty years as a garbage man.
第一にローラさんの絵が魅力的。そして流れるようなアニメートに釘付けになった。自身の語学力では、カフェでの会話の速さが追いきれず。
この日は『骨嚙み』の上映があり、朝から緊張していてとても落ち着かない気持ちだった。アヌシーの舞台で作品を見ていただけることは嬉しいが、やはり緊張もする。
ひらのりょうさんに教えていただいた川沿いの道を30分ほど歩いて遠回りで会場へ向かった。
一週間で爪がとても伸びてしまい、掌に刺さる。ともあれ、無事上映が終わった。
上映後は湖を歩いた。
夜は山村監督とスイスの大巨匠ジョルジュ・シュヴィッツゲベルさんのお城コンサートに行った。
昨日までかかっていなかったけど、今日は旗があった。この古い街並みもアパルトマンなのかな。
Georges Schwizgebel and Louis Schwizgebel’s Film Concert
ジョルジュさんの息子さんルースさんはピアニストで、最後の上映ではジョルジュさんの”Erlking” (2015)に合わせての演奏。
馬に乗った父親が息子と一緒に森を駆け抜けている。病気の子どもは、エルルキングを見たと思い、彼を魅了し、そして怖がらせる。ゲーテの詩「Erlkönig」とフランツ・シューベルト、フランツ・リストの音楽がベースになっており、子供のみる幻惑が夢と狂気の狭間で混濁と描かれる。
ジョルジュさんのこれまでの作品と音楽を聞くなかで、奇跡を見ているような感覚になった。アニメーションは幸福の技法だ。
やはり、つくり続けることが1番の目標。