2022/9/28(水)特集『骨嚙み』音声ガイド完成披露上映 / TBSラジオ「アフター6ジャンクション」(Spotify)が公開されました!
TBS ラジオ『アフター6ジャンクション』×ユニバーサルシアター 「CINEMA Chupki TABATA」合同企画~の『骨嚙み』音声ガイド制作企画の完結編がついに公開されました。
アトロク水曜パートナーの日比麻音子さんに『骨嚙み』のオリジナル音声ガイドを作っていただくという本企画は、制作者である私にとっては、驚きと夢のような機会でした。
本プロジェクトにあたり、日比アナウンサーには、「まずアニメーションであり、それも点で描かれた本作をどう言葉で伝えるのか」、また「一つひとつのカットはどういう心情でそして何が描かれているのか」丁寧に掬っていただきました。そして、これまで誰にも聞かれることのなかったような点まで観て気がついていただき、一つひとつ寄り添っていただきました。
その上で、日比さんの目から見て『骨嚙み』を言葉という音で立ち上げていただきました。
今度は石井さんその音声を聞いていただき、そこから何が見えるかを伺います。
そのフィードバックを活かして、音声ガイドを修正していきます。
この「音声ガイド」という経験を通して、日比麻音子アナウンサーを筆頭に、皆様にさまざまな角度から作品を捉え直していただき、解釈をいただくことで、作品に心を寄せていただく経験をしました。それは作り手のわたし自身が励まされることでした。
改めまして、この貴重な機会をくださいましたTBSアナウンサー日比麻音子さま、アフター6ジャンクション宇多丸さま、古川耕さま、檀鼓太郎さま(音声ガイド制作者)、平塚千穂子さま(シネマチュプキ・タバタ支配人)、石井健介さま(ブラインドコミュニケーター)に御礼申し上げます。
アトロクの「音声ガイドプロジェクト」については353logにてご丁寧におまとめいただいております。
353さんありがとうございます。
本プロジェクトが走っている中、一方で、9月18日(日)文化庁メディア芸術祭では平塚千穂子さん(シネマチュプキ・タバタ支配人)、石井健介さん(ブラインドコミュニケーター)とともに、「『骨嚙み』音声ガイドを制作してみよう」ワークショップがありました。
ご参加くださいました方々ありがとうございました。こちらも音声ガイド制作のワークショップとしてとても面白い内容になりました。一つの成果としてまたどこかでWSをできる機会があれば嬉しいです。レポートは下記よりご覧ください。
そもそも映画をインクルーシブに楽しむこと、映画とアクセシビリティについて大きく意識が変わったのは、コロナ禍において参加したトロント・リールアジアン国際映画祭 (Toronto Reel Asian International Film Festival)が最初でした。
オンラインで公開インタビューを受けるとき、「では、まずあなたの外見や見た目について説明してください」と言われました。
当時、見えない人に言葉で自分を描写する、そのためだとわからなかった私は、このシンプルな質問にどんなことを言えばよいのか、戸惑ってしまいました。しかし、それは素直に、髪の長さ、着ている服、メガネの有無、そのような一次的な情報で良いものでした。
トロント・アジアンリールでは、画像に対する説明の文章(ALT)も提出したり、映画祭webサイトには全映画にアクセシビリティの情報が記載されていたり、みんなで映画を楽しむということに対して最も勉強になった映画祭でした。
その後、この度日比アナウンサーの「音声ガイドプロジェクト」を通して、拙作へ音声ガイドを作っていただきました。本プロジェクトとともに 、陰ながら伴走させていただくなかで、音声ガイドを作っていく上で大切なこと、具体的なテクニック(例えば色の概念は入れていいのか? 時制はどうするのか?など)を知ることができ、大変勉強になりました。
拙作の今後の作品、過去作『染色体の恋人』に関しても、音声ガイドの機会を窺いたいと思いました。
ラジオ公開当日の収録スタジオの熱気に心が締め付けられました。
関係者の皆さま、ありがとうございました。
音声ガイド制作については、最後にご紹介するドキュメンタリー(チュプキ制作)がおすすめです。
下記TBSラジオページより引用
TBS日比麻音子アナウンサーが、 視覚障がい者のためのバリアフリー音声ガイド制作を担当し、DigiCon6ASIAグランプリ作品『骨嚙み』上映会を開催。
~TBS ラジオ『アフター6ジャンクション』×ユニバーサルシアター 「CINEMA Chupki TABATA」合同企画~
TBSラジオ『アフター6ジャンクション』では、これまで視覚障がい者の方が映画を鑑賞するための「バリアフリー音声ガイド」を紹介してきました。
そしてこのたび、TBSアナウンサーが、プロの音声ガイド制作者のレクチャーを受けながら、バリアフリー音声ガイドの台本づくり、そしてナレーションに挑戦する試みを日本唯一のユニバーサル映画館「シネマチュプキ・タバタ」(東京・田端)と合同で行うことになりました。
シネマチュプキ・タバタは文化庁メディア芸術祭のサテライト会場として、第21回より同アニメーション部門の受賞作を字幕・音声ガイド付きの「ユニバーサル上映」で行なってきました。
第25回の今年も、アニメーション部門の受賞作品をユニバーサル上映するにあたり、同部門の新人賞受賞作で、TBS主催「DigiCon6 ASIA」でもグランプリを受賞した、矢野ほなみ監督の『骨嚙み』(2021)のバリアフリー音声ガイドに、TBS日比麻音子アナウンサーが挑戦します。
日比アナウンサーはDigiCon6にスタッフとして長年携わり、また『アフター6ジャンクション』ではバリアフリー音声ガイドの特集にも関わっており、今回、みずから台本作成とナレーションに挑戦し、その途中経過を9月の番組の中で報告していきます。
また、完成した音声ガイド付き作品は、シネマチュプキ・タバタで9月22日(木)から上映。
さらに上映終了後、9月28日(水)のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』放送内でその音声ガイドを全編放送。事実上の「映画上映」をラジオ生放送で行います。
■「バリアフリー音声ガイド」とは?
視覚障がい者でも映画を楽しめるよう、セリフや効果音、音楽とは別に、状況を説明したナレ ーションを副音声として流すもの。これにより目の見えない人や見えづらい人でも映画鑑賞が可能となる。現在日本で公開されている多くの日本映画には音声ガイドが実装されており、映画館で「UD Cast」「HELLO!MOVIE」といったスマートフォン・アプリを使うことで誰でもイヤホンで聴くことができる。また、DVDやブルーレイといった映像ソフト、一部配信サービスにも装備されている。近年では有名声優などがナレーションを吹き込み、声優ファンや作品のファンが利用する機会も増えてきている。
■「CINEMA Chupki TABATA」とは?
東京・田端にある座席20席の映画館。目の不自由な方、耳の不自由な方、車いす利用者の方、小さなお子様を連れた方、誰もが安心して映画を楽しめる、日本で唯一のユニバーサルシアター。文化庁メディア芸術祭事務局より委託を受け、第21回より、メディア芸術祭のサテライト会場として作品展示のユニバーサル化にも協力している
■「文化庁メディア芸術祭」とは?
文化庁メディア芸術祭実行委員会が主催しているアートとエンターテインメントの祭典。芸術性と創造性をもつ優れたメディア芸術作品を表彰することを目的に、1997年度から毎年実施されている。また、受賞作を対象に展示会や関連イベントなどが行われる。過去、アニメーション部門では『もののけ姫』(1997)『マインド・ゲーム』(2004)『時をかける少女』(2006)『君の名は』(2017)『この世界の片隅に』(2018)などが受賞している。
■課題映画『骨嚙み』とは?
矢野ほなみ監督による2021年作、9分45分の短編アニメーション作品。
第25回 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 新人賞
第45回 オタワ国際アニメーション映画祭 短編部門グランプリ
第23回 DigiCon6 JAPAN 最優秀作品賞
第23回 DigiCon6 ASIA グランプリ
TBS主催「DigiCon6 JAPAN」「同AISA」でグランプリを受賞。2021年11月17日には「DigiCon6特集」で矢野ほなみ監督に日比アナがリモートインタビュー。ちなみに同作のパッケージ販売・配信はなく、現時点では映画祭等での公開でのみ鑑賞可能。
■TBSラジオ『アフター6ジャンクション』とは?
毎週月-金18:00-21:00まで生放送で放送している日本最高峰のカルチャーキュレーション・プログラム。ライムスターのラッパー宇多丸と曜日パートナーがパーソナリティとなり、映画・音楽・アニメ・ゲーム・文学・コミックなど、さまざまなカルチャー情報を発信している。
https://www.tbsradio.jp/articles/59643/
22年8月31日(水) 日比アナウンサーの新プロジェクト:オリジナル音声ガイドプロジェクト
22年9月7日(水) オリジナル音声ガイド作成プロジェクトの途中報告 by 壇鼓太郎さん
22年9月14日(水) 音声ガイド特集の為収録に行ってきました!
22年9月28日(水) 音声ガイド制作プロジェクト特集に向けて
アイキャッチ画像©︎1995-2022 TBS RADIO,Inc
この度お世話になりましたシネマチュプキタバタ平塚代表と石井健介さんご出演ドキュメンタリー映画『こころの通訳者たち』が公開されています。
『こころの通訳者たち』
2021年 / 日本 / 94分 / Chupki 配給
公式サイト
聴こえない人に生の演劇の感動を伝えたい。見えない人にありのままの映像を届けたい。
見えない人、聴こえない人、車いすの人、小さなお子様を連れた人、誰でも一緒に映画を楽しむことができる 日本で唯一のユニバーサルシアターのシネマ・チュプキ・タバタでは、上映する全ての映画に音声ガイドと 字幕をつけている。そんな映画館にある相談が持ち込まれたことから本作の企画がスタートした。
耳の聴こえない人にも演劇を楽しんでもらうために挑んだ、3人の舞台手話通訳者たちの記録。 その映像を目の見えない人にも伝えられないか? 見えない人に「手話」を伝えるには――。
コロナ禍のなかで進行した、見える人、見えない人、聴こえる人、聴こえない人たち個性豊かなメンバーによる「音声ガイド」づくり。ちょっと無茶かも・・・と思われたアイデアから見えない人と聴こえない人にも 対話が生まれ、互いに知らなかったことに気づいていく。演劇との架け橋になろうとした舞台手話通訳者たちの想いは、壁にぶつかりながらも音声ガイド創りを「諦めない」メンバーたちの想いを重ね、いつしか言語を超え、障害のあるなしを超えて、<こころ>のバトンを 繋いでいく。
舞台挨拶のある日に揚々と早速行ってまいりました!