TIAF Day2

朝5時起床。
陽のやわかいうちにお散歩へ。
地図で見ていた場所に来るって不思議。やっぱり歩いてみると、もちろんなのだけれど、実感が湧く。オートバイが多く、白線ではなくて赤線の中を歩く。

近くに池を発見。

歩いていると朝市がありのぞいてみた。

たまたま歩いて見かけた朝イチ。原付バイクに乗りながら買い物をする慣れ親しんだ人々をみる。バイクから降りた人は、ヘルメットを被ったまま買い物をする。朱彦潼さんのコップの中の子牛のお父さんも、自転車に乗ったまま、お金のやり取りをしていたなと思い出す。物語の背後にある文化的仕草を思う。

コンペ2。
短片競賽二:愛裡的告別與重生
Short Films in Competition 2:If You Love Something, Let It Go

Once in a body
Director / Maria Cristina Perez Gonzalez COLOMBIA, USA | 2025

厚塗りの画面に、膨張と収縮を繰り返しながら、女性の内面に宿る感情と、外から加えられた圧力を行き来するような感情の運動。圧倒的な筆の筆致を大画面で見て、叫びのような内省が画面に宿っていて圧倒された。

Lethe
Director / HUANG Liang-Hsin TAIWAN, FRANCE | 2025

なんという色彩の美しさ..! 静謐な思考がそのまま映像の文体になったよう。さまざまな色があるのにダイナミックな色使いで、それでいて一貫していて、色と忘却の世界を漂った。

Penguin
Kaspar JANCIS ESTONIA | 2026

エストニア、カルパス・ヤンシスさんの「ペンギン」はオタワ以来2度目。2回目も同じところで笑ってしまう。そして、見終わった後は前回と異なる角度で見えてきてちょっと怖くなる。愛に飢えた男はペンギンとなって南極に放たれるが、映画の最初に戻って考えると、また「男」なる自身に撃たれるのかもしれない。南極の地で、一人くらいペンギンに混じった元人間がいるかもしれないと思う。

The Last Spring
Mathilde BEDOUET FRANCE | 2026

カンヌのコンペティションでチケットを取ることができなくて観ることができずだったので、やっと観ることができた。
高校生の修学旅行なのだろうか、夏の輝く島に降り立った少女少年たちのあるキラキラして、それでいてちょっと気まずくなるような時間、圧倒的な画面の美しさ。青い影と白が光となって降り注ぐような日差しのなかで、海の泡や光の移り変わる色合いが、青春と言われる時間と交差する。マリオンの、同級生に目配せしつつも奔放な様に、浮ついた浮遊感。ロトスコープで、新庄に寄り添った色の鮮やかさと、描かないことで見せる画作りに、アニメーションの必然を感じた。

The Pool or Death of a Goldfish
Daria KOPIEC POLAND | 2025

家族関係において抑圧化にある少女が、プールに身を浸しながら、すでに崩壊した家族関係が描かれていく。粘土の身体が、文字通りナイフで刻まれる痛みは、これを上回る痛みはあろうかと思わされるほど。父母からの支配、そして押し付けられる性への恐怖を炙り出していくみたい。少女は水に逃げていくけれど、やはり水のなかでは呼吸ができない。その水でもがき、コントロールしようとするけれど、どこか身体だけが置き去りにされていくような感覚。何度か見ても忘れられない一作。

Autumn 2026
Wojciech SOBCZYK POLAND | 2026 |

ヴィジュアル・ミュージックというのか、音楽を映像で、あるいは映像を音楽で捉えるとき、こんな見せ方があるなんて…!水辺の鳥たちの翼、くちばしをくねらせて踊るような様、それらが鉄砲で捉えられて落ちていく音が、悲しい協奏になっていく。舞台は水辺から土地へ。人間の営みが動物たちの身体を壊していくようで、遠吠える犬の嘆きがこだました。

「エリ」の上映前に、Q&Aの進行の説明があり、上映後に劇場へ戻る。
質疑では、朝倉かすみ先生の原作『ほかに誰がいる』について、アニメーション化する際の原作との違い、原作の結末、なぜ牛?、最後エリの形をした穴から空を見上げているシーンの意味、なぜ負傷するのか、このプログラムのタイトルについてどう思うかなど、上映後の個別質問を含めさまざまなご質問をいただいた。



『ほかに誰がいる』、本当にぜひ台湾の方にも読んでいただけたらと願った。
上映後、娘さんが通訳してくださりお話しかけてくださったお母様がいた。

台湾に到着した日、あるゲイバーが警察の介入を受け、20年前から続く台湾におけるゲイコミュニティの記憶が呼び起こされたが、同時に、女性クィアコミュニティの不可視性をも思う。
「エリ」に共感したと伝えてくださって、言葉のやり取り以上に受け取るものがあった。

見てくださった方が話しかけてくださり、とても嬉しかったです。
ありがとうございました。

コンペ2上映後、次の学生コンペ1が満席で入れなかったため、そんなわけで今、ホテルで備忘を記入。

この後、コンペ3、4と参加した。抜粋でいくつか。
◼️コンペ3:Of Winds, Threes, and Cats

Dear End
Khéma COUSIN, Lien FRANCKEL, Laora LE BOURSICOT, Alissende MASSON, Joséphine MOUNIER, Clément SADEN FRANCE | 2025

ゴブランにて制作。郵便配達人の老父は定年間際に水を滑るかのごとく滑らかに仕事をこなすが。

これまで届けてきた物語に見送られるかのような切ない仕事人の姿。クレジットにジェレミー・クラパン(Jérémy Clapin)さんの名前を見た気がするがあれば読み違えだったのだろうか。

Virgin Fandango
Marcy PAGE PORTUGAL | 2026

アヌシーでのインタビューを発見。こちらはオタワで初見で、今回2度目。ポルトガルやスペインの壁画に見られる陶製タイル細工であるアズレージョタイルにペイントしているが、あまりに圧倒された。タイルは支持体としてだけではなく、それ自体がオブジェとなって、数が集まって一枚の絵になっていくこと、その上でさらに一枚一枚が動きを持っていることが、女性のアクティビズムそのこと自体を映像で捉えるよう。境界にあるアズレージョタイルは、普段物言わぬものだけれど、それが傷も割れることも受け入れながら、語り出し踊り出し、存在の重みを感じる。ノルマン・ロジェさんの音楽も圧巻だった。
Ciclope Filmes制作で、レジーナ・ペソアさん『悲劇的なハッピーエンドの物語』(2005年)から始動したスタジオからの発表マーシーさんの作家として、プロデューサーとして、大いなる存在をみた気持ちになった。

Mwah to My New House! /新しいおうちにチュ!
Yoko YUKI/幸洋子 JAPAN | 2025

圧倒的大好き。スクリーンでは2度目だったけれど、見るたびに理解度が増す。自由な猫ちゃんに対して、圧巻の自由な画面は幸さんにしかできない表現に思えて、それでいてキムラ緑子さんの語りが絡み合うナラティブに引き込まれ、終始わくわく。

◼️コンペ4:A Wrinkle in Time Saves Nine
ことわざ「A stitch in time saves nine(早めの一針が九針の手間を省く=転ばぬ先の杖)」

小説『A Wrinkle in Time(五次元世界のぼうけん)』

Water Girl
Sandra DESMAZIERES FRANCE, NETHERLANDS, PORTUGAL | 2025

ひろしま以来2度目。海女の女性たちの営みのなかで、水のなかの窒息する感じや産みの苦しみ、プレッシャーみたいなものが徐々に浮上する。二人で愛し合った過去にゆるされひとりで生きていく、海に受容されるような強き女たち。緑色の産みの産みの世界のなかで生が肯定されるような時間だった。

The End
Niki LINDROTH VON BAHR DENMARK, FRANCE, SWEDEN | 2026

完全無欠で高い頂というような見事としかいいようのない作品。大好きな『ザ・バーデン』(2017)に心を遠くの彼方に持っていかれたけれど、今作もまるで狂気に走る世界のなかで、世は不条理に満ち、私は逃避し、強迫観念に突き動かされるなかで、なんだか笑うしかない、みたいな。最後はどうしようもない境地に連れていかれる。とんでもない高密度で描かれ、まるで身体から息が出てくるその息で震える毛の感じさえ感じる。

The Comet
JULIE CHARETTE CANADA | 2026

監督のジュリーさんにオタワで会えて嬉しかった!モントリオールのEmbuscade Filmsご出身だそう。兄弟と猫を見舞う暴力に抵抗する弟は、力に力で返したことで、大きな余波を受ける。それをただ受け止める姉弟の姿に、抵抗すること、その行為を言葉じゃないところで感じさせる。ものすごい読後感。

The Flesh Dress
Joachim HÉRISSÉ FRANCE | 2026

2022年のÉcorchéeが強烈に印象に残っていて、ヨアヒム・ヘリッセ監督の新作だー!と歓喜。老仕立て屋の夫と妻のドレスの関係が、憂鬱的にホラー的に、苛烈な変形と苦しみを伴いながら崩壊していく。前作に通底する川と舟をみて、まるで並行世界を見ているような感覚に陥る。


夜は、映画祭を訪れていた日本在住の研究者の戴周杰さんとご飯をご一緒させていただいた。

そんな2日目。

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